題組內容

一、日譯中

⑴アンドレ=マルローが日本へ来たとき、那智の滝を見て言ったという言葉を、 私は時々思い出す。日本人の芸術観について考える場合、いつも一つのこだ わりとして思い出されてくる。彼は自ら申し出て那智まで出掛けたらしいが、 滝を目にしてこう言ったという。「自分は自然にはめったに感動しない男だ が、これには本当に感動した。」 自然に感動しないという心情は、日本の芸術家にはあまりないのではないか と思う。そのことのプラス、マイナスは今は問わぬとして、彼らは自分の技 巧の限りを駆使した造型物の果てに、自然との一体化を漠然と考えているよ うである。物事を対立的にとらえるという習性が、日本人はヨーロッパ人に 比して弱いことが、原因かもしれない。自然と人工、あるいは芸術という関係 を、対立的には考えなかった。人工の行き着く果てに、自然を見た。(13 分)