一、日翻中:(20 分)
京都や大阪などに集中する訪日客の地方への誘客として、森や海といった自然を楽しむ観光が脚光を集めている。体験型観光「コト消費」 を好む訪日客が増えていることに加え、国も地方が持つ自然の観光資 源化に注力しており、双方のニーズが合致する。
政府が定める 2030 年の訪日客 6 千万人の目標達成にはオーバーツ ーリズムの解消が欠かせない。その打開策として、国は国立公園の観 光資源化など自然を生かした地方誘客に力を入れている。ただ、それ にはそれぞれ地域の合意を得た上で生態系保全の対策が合わせて計 画されるべきだ。訪日客分散の受け皿を増やすためだけに推し進めれ ば、地方が犠牲になりかねない。景色を眺めて、ただ「美しい」と言 って終わる自然観光も少なくない。そこでは自然や歴史・文化の価値 を学びながら観光し、環境保全につなげる「エコツーリズム」の本来 の意味が失われている。