申論題內容
⑴日本の有名な俳人松尾芭蕉がその有名な「笈の小文」の冒頭に、「風雅におけ
るもの、造化にしたがひて四時を友とす。」「造化にしたがひ、造化にかへ
れ。」と言っている。この言葉の中に、日本の芸術家の窮極の心構えがあるよ
うだ。風雅という言葉が、そのまま芸術とか文学とか考えては、その語に込め
た微妙な心の陰りを見落とすことになるだろう。造化というのも、自然と全く
同じではない。天地自然が万物を生じ育てるという働きを、この語に含めてい
る。万物を創造し化育するという、何か生命あるものの力を、この語に感じて
いるようだ。(20 分)